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2012/09/25(火) 就任承諾書の要否 司法書士 立花 宏
 株式会社において、株主総会で選任された取締役が、その直後の取締役会の決議や定款の定めに基づく取締役の互選により代表取締役に選定されました。
 この場合に、取締役と代表取締役の登記を申請する場合には、取締役としての就任承諾を証する書面のほかに、代表取締役としての就任承諾を証する書面を添付する必要があります。
 取締役会を設置している会社や、取締役会を設置していない会社で、定款で代表取締役を取締役の互選で選定することにしている会社は、代表取締役と取締役の地位が一応分離していると考えられています。そのため、株主総会で代表権のない取締役として選任されて就任した後に、取締役会や取締役の互選で代表権のある取締役に選定されて就任したと、二段階で考えるからです。
 逆に、定款や株主総会で代表取締役を定めた場合には、代表取締役以外の取締役は、代表権のある取締役として選任された後で、代表権を制限されたと考えます。この場合は、取締役はもともと代表権のある取締役として選任されて就任しているため、代表取締役に選定されても、代表取締役としての就任承諾を証する書面は不要です。

 では、他の法人ではどうでしょう。
 たとえば特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という。)はどうでしょうか。
根拠法となる特定非営利活動促進法第16条では、「理事はすべてのNPO法人の業務について、NPO法人を代表する。ただし、その定款をもって、その代表権を制限することができる。」となっています。
 定款において、代表権のある理事は理事の互選で定めるとした場合、代表権のある理事として選定された理事以外の理事は、代表権を制限されたと考えることになります。
 そうすると、理事として選任された後、理事の互選により代表権のある理事に選定された場合には、もともと代表権のある理事として選任されているため、代表権のある理事としての就任承諾を証する書面は不要なようにも思えます。
 しかし、登記を申請する場合には、理事としての就任承諾を証する書面のほかに、代表権のある理事としての就任承諾を証する書面が必要とされています。しかも、就任承諾を証する書面は、理事会の決議や定款に基づく理事の互選により代表権のある理事を選定した場合にのみ必要とされており、総会等で代表権のある理事を選定した場合には不要なのは、株式会社の場合と同様です。
 株式会社とNPO法人で、添付書類が同じなのはわかりやすいのですが、理論的にはなんとなく腑に落ちない取扱いのように感じます。
 みなさんはどのようにお考えになりますか?


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