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2015/04/30(木) 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記   司法書士 立花 宏
 いよいよ、5月1日から、改正会社法が施行されます。
 主に大企業が対象の改正とはいえ、中小企業の登記実務に大きく影響を与える改正も含まれています。
 もう、ほとんどの方がご存じと思いますが、監査役の権限に関する登記です。
 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定め(以下、「会計限定」という。)がある場合には、その旨の登記をする必要があります。
 なお、経過措置が設けられており、改正会社法施行後、最初に監査役が就任し、又は退任するまでの間は、会計限定の登記をすることを要しないとされています。
 もっとも、改正の趣旨を考えると、経過措置にかかわらず、取締役に変更があった場合等には、監査役に変更がない場合でも、あわせて登記をした方がよいのかもしれません。

 ところで、この会計限定の登記の改正ですが、他の法人についてはどうなのでしょうか。
 たとえば、一般社団(財団)法人にも、株式会社の監査役に相当する監事という役職があります。一般社団(財団)法人の監事は、会計限定の登記をする必要な場合はないのでしょうか。
 答えは、必要な場合はない、です。
 一般社団(財団)法人については、その根拠法に、監事の権限を会計に限定することができるとの規定がないからです。
 
 では、それ以外の法人はどうでしょうか。 
 株式会社と違い、多くの法人は、一般社団(財団)法人と同様、その根拠法に、監事の権限を会計に限定することができるとの規定をおいていません。
 しかし、監事の権限を会計に限定することができる規定を置いている法人もあります。
 たとえば、事業協同組合は、その根拠法である中小企業等協同組合法で、一定の場合には、監事の監査の範囲を会計に限定するものに限定する旨の定めを定款に置くことができるとしています(中小企業等協同組合法第36条の3第4項)。

 では、事業協同組合は、この監事の会計限定の登記をする必要はないのでしょうか。
 これも、答えは、必要ないということになります。

 というのは、事業協同組合はそもそも監事を登記する必要がないのです。株式会社と違い、事業協同組合で登記する役員は、代表権を有する者のみだからです。
 今回、株式会社の監査役については、会計限定の登記に関する改正がありましたが、他の法人では、改正がありませんでした。しかし、改正がなかった理由は、その法人の根拠法によって、異なっているということです。

 こういった視点で今回の会社法改正を見てしまうのは、商業・法人登記の専門家である、司法書士ならではかもしれません。


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