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2014/01/15(水) 総会の“決議”による解散? “議決”による解散? 司法書士 立花 宏
 先日、ある法人の解散の登記を申請したときのことです。
 登記すべき事項について、どうしようか迷ったことがありました。

 その法人は総会で解散すると決議し、解散しました。法人が解散した場合は、解散の旨並びにその事由及びその年月日と登記する必要があります(商業登記法第71条、組合等登記令第25条等)。
 たとえば、株式会社であれば、「年月日株主総会の“決議”により解散」と登記します。
 今回も「総会の“決議”により解散」と登記すればよいだろうと思ったのですが、念のため、登記の依頼を受けた法人の根拠法に規定されている解散の条文を確認してみました。すると、その法人の根拠法では、解散事由として「総会の“議決”により解散」となっていたのです。
 “決議”による解散と“議決”による解散。
 なにか使い分けがなされているのでしょうか。
 ちなみに、法律用語辞典(有斐閣)によれば、要約すると、“議決”とは、合議体の意思決定のことであり、“決議”とは合議体が意思決定をした結論という意味だそうです。ただし、“議決”を合議体が意思決定した結論という意味で使う場合もあるようです。
 
 どのように使い分けているか、いくつかの法律の解散事由の条文を確認してみました。
農業協同組合法第69条では、総会の“議決”となっています。そして同条第2項で「解散の議決は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」となっています。
 医療法第55条では社員総会の“決議”となっています。そして同条第6項で「解散は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。」となっています。
 認可の対象が“議決”なのか、“解散”なのかでの使い分けなのでしょうか。
 しかし、水産業協同組合法第68条では、総会の“議決”となっています。同条第2項で、「解散の決議は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」となっています。
 なんとも、使い分けの基準が読み取れません。

 なにか手がかりはないものかと、法令用語辞典(学陽書房)を開いてみました。
 すると、「法令によっては、「決議」と「議決」を区別して用いているが、団体の解散事由の一を「総会の“決議”」、「総会の“議決”」というように、両社を区別することなく用いている。(注:読みやすくするため、一部省略しています)」と記載されていました。
 どうやら、“決議”による解散と“議決”による解散の使い分けにはそれほどの意味はないようです。
 登記を申請する際は、根拠法の条文や登記の記録例を参考にして登記すべき事項を記載すればよいでしょう。


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